創造とかひらめき、思いつきというような勝手気ままなものではない。やや難解な表現になってしまうが、敷地との会話の中から生まれてくる合意のようなものである。どの敷地にも個別性がある。傾斜があるのはよくあることだ。まわりの建物はどうだろうか、高層か、そうでないか。静かな地域か喧騒な地域か。地形はどうか。平坦なのか、斜面なのか、起伏があるのか。向きは、日照は、風向きは。よい土地、悪い土地というものはない。ここなら建てたいという土地もない。下町でも山の手でも、田園調布でも商店街でも、どこでも建ててみたい。その土地の持つ力を引き出していくことはできるのだ。それが建築家の力量でもある。ほとんどのマンションは周囲と無関係につくられている。いや、マンションだけでなく日本の建物のほとんどがそうだろう。建物の美しさはその建物の周囲の環境との調和なくしては考えられない。周囲の町並みとの調和をまったく考えずに建てられた建物ばかりである。
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