収益還元法により、この郊外の物件の適正価値を計算してみよう。仮に価格や家賃の下落リスクから導いた期待利回りを7%とすると、15万円×12ヵ月÷7%=2571万円。つまり、約2600万円がこの物件の本当の価値なのだ。だとすれば、3600万円がいかに高すぎるかということがわかる。これを買ってしまうことがいかに不利な行為かがわかっていただけると思う。もともと収益還元法は、投資用不動産を対象にした考え方がもとになっていた。しかし現在、あらゆる不動産の価格が収益価格に収斂してきている。とりわけ都心の商業地などは完全に、いくらで貸せるかで価格が決まっているし、都心の住居用不動産も、その影響を強く受けるようになっている。ところがそうした潮流から完全に取り残されたエリアがある。それが限りなくニュータウンに近い郊外だ。いまだに収益還元法を無視した「業者の言い値」で価格がついている例が大半だ。しかし、いずれはこうした郊外にもこの波は押し寄せてくるのは間違いない。そうなれば、いま3600万円で売り出されている物件が、2600万円ぐらいになるだろう。そのとき、3600万円で買った人はどうなるか。所有する不動産の評価額が急落し、なにかの事情で売却したいと思ってもローンの残高が評価額を上回って売るに売れなくなる、つまり不良債権を背負い込む危険があるというわけだ。貸そうとしたところで、そういうエリアの賃料は経年数による減価率も大きい。
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